遺骨を分骨してから海洋散骨したいんですけど何をすればいいですか?
では、分骨から海洋散骨までの流れを詳しく紹介しますね。
海洋散骨をするときは、遺骨を全部まかずに少し残しておきたいですよね。
僧侶の私としても、海洋散骨をするなら遺骨の一部を分骨しておくのがいいと思います。
それに、実際のところ、海洋散骨をした人の多くが事前に遺骨を分けて自宅に保管しています。
事前に『分骨から海洋散骨までの流れ』を把握しておけば、不安なくスムーズに海洋散骨ができるようになりますのでぜひ最後まで読んでみてください。
- 分骨してから海洋散骨するまでの具体的な流れが分かります。
- 遺骨を分骨する方法が分かります。
- 故人の希望どおり海洋散骨をしたいけど、遺骨を全部まいてしまうのは嫌だ。
- 海洋散骨した後は、分骨した遺骨を自宅で保管しておきたい。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって25年です。僧侶としての経験や視点をふまえて海洋散骨に関する情報を発信しています。
海洋散骨をするなら分骨しておく方が無難
海洋散骨をするなら分骨しておく方が無難です。
分骨して一部の遺骨を残しておけば、
- 手元供養をして故人を身近に感じられる
- 遺骨を加工して『アクセサリー』などにできる
- もしもお墓を建てることになってもちゃんと納骨できる
などのメリットがあります。
海洋散骨と聞いて『海に遺骨を全部まいてしまう』というイメージを持つ人もいますが、遺骨を全部まく必要はありません。
遺骨の一部だけを分けて残しておき、他の大部分を海洋散骨することもできます。
私が今まで聞いてきた限り、海洋散骨をする理由のほとんどが【故人の希望】です。
そして、遺族の方々はみんな「故人の希望は叶えてあげたい、でも故人の遺骨がすべて無くなってしまうのは淋しい。」と言っていました。
やはり、遺族としては《故人が生きていた証》として少しだけでも遺骨を残しておきたくなるんですよね。
遺骨は海にまいてしまうと二度と戻って来ませんので、どのように散骨するのか事前に遺族でよく話し合う必要があります。
そこでもしも遺骨を全部まくことに少しでも抵抗感があるなら、分骨をしておいた方が無難です。
分骨から海洋散骨までの流れ【分骨をする】
まずは分骨をする手順について紹介します。
遺骨を分骨するタイミングには、
- お墓へ納骨する前
- すでにお墓へ納骨をした後
があります。
お墓へ納骨する前に分骨する
分骨をするタイミングの1つめは『納骨をする前』です。
『納骨をする前』というのは、多くの場合が【火葬の直後】です。
火葬をする前の段階で分骨することが決まっているなら、分骨する旨を葬儀社に伝えておくようにしましょう。
そうしておけば、葬儀社が火葬場に分骨の依頼をしてくれます。
故人の遺骨は、遺族の希望する数だけ分けてもらえますので、何人で分けるのかを葬儀社へ伝えてください。
また、有料にはなりますが、分骨をする数だけの骨壺を用意してもらえます。
そして、火葬場からは、故人のお骨を分けた証として『分骨証明書』が分けた数だけ発行されます。
大事なのは、火葬場で分骨するつもりなのであれば、葬儀社へ必ず《事前》に伝えるということです。
火葬場に着いてから「やっぱり分骨したいです。」なんて言っても遅いです。
火葬場の『分骨証明書』がすぐその場で発行されることはなく、分骨用の骨壺も急には用意できませんので、お葬式の打ち合わせのときに伝えましょう。
そのためにも、分骨については存命中に家族でしっかりと話し合っておくことをおすすめします。
すでにお墓へ納骨をした後に分骨する
分骨をするタイミングの2つめは、『すでにお墓へ納骨をした後』です。
よくあるのは、
最初は分骨をするつもりがなく、お墓へ納骨をした。しかし、数年後に状況が変わり分骨をすることになった。
みたいなパターンです。
石材店に依頼して、お墓からお骨を取り出してもらう
お墓へ納めた遺骨を分骨するには、当然ながら、お墓の中からお骨を取り出さなければなりません。
お骨を取り出す作業は、自分でやらずに石材店へ依頼をしてください。
墓石というのはとても重くて硬いです。
そのくせ『墓石の角』の部分だけは非常に弱くて、ぶつけると簡単に欠けてしまうのです。
だから、墓石の扱いに慣れていない人は、まずは想像以上の重さに驚いて、それから石を上手く動かすことができずに『墓石の角』をぶつけます。
それで、結局は高額な修理代金を支払うハメになります。
悪いことは言いませんから、分骨のためにお骨を取り出す作業はちゃんと石材店に任せましょう。
遺骨を分けるときは、お坊さんに供養してもらう
お墓から取り出した遺骨を分けるときはお坊さんに供養をしてもらってください。
お墓というのは、この世とあの世を結ぶものです。
お墓から遺骨を取り出すときには【お騒がせ】することになります。
ですから、お坊さんに供養をしてもらって、ご先祖様や亡き家族に対して《分骨の報告》と《お騒がせしたお詫び》をしましょう。
墓地の管理者から『分骨証明書』を発行してもらう
一度お墓へ納骨した遺骨を分けるためには、その墓地の管理者に『分骨証明書』を発行してもらう必要があります。
お寺や霊園あるいは地域の集合墓地などには、墓地全体を管理する『管理者』がいます。
お墓からお骨を出して分骨する場合は、『管理者』から分骨証明書を発行してもらい、ちゃんと許可を得てから分骨したことを証明するのです。
また、海洋散骨業者によっては、分けた遺骨を散骨する場合に『分骨証明書』の提出を求められることもありますので事前に確認をしておきましょう。
分骨した遺骨を海洋散骨する場合は『改葬許可証』は必要?
お墓に納めた遺骨を他の墓地などへ移すことを『改葬』といいます。
改葬をするときには自治体に『改葬許可証』を発行してもらう必要があり、これがないと移動先の墓地などへ納骨することができません。
となれば、分骨した遺骨を海洋散骨する場合も『改葬許可証』が必要になりそうですよね。
しかし、分骨の場合は改葬許可証を発行してもらう必要はありません。
海洋散骨をするかどうかは関係なく、分骨の場合は基本的に『改葬許可証』は不要です。
私が以前に役所へ確認をしたところ、
- 分骨した遺骨については『改葬許可証』を発行していない
- 自治体は分骨されたすべての遺骨の行き先を把握しておくことができない
- 分骨した遺骨の受け入れ先から『改葬許可証』の提出を求められた場合は発行する
との回答をいただきました。
しかし、海洋散骨業者によっては『改葬許可証』の提出が必要なところもあるので、事前に業者へ確認をしておいた方が無難です。
分骨から海洋散骨までの流れ【海洋散骨業者に依頼をする】
分骨が終わったら、海洋散骨業者へ連絡し、散骨の依頼をします。
まずは散骨の形式(個別・合同・委託)を決め、それから日程を決めます。
また、散骨のときに船上で供養してもらう場合は、僧侶を手配をしてくれる業者もあるので確認してみてください。
散骨の日程が決まったら、遺骨を業者へ預けて【粉骨】をしてもらいましょう。
じつは、海洋散骨をするためには、遺骨を【粉骨】する必要があるのです。
自分で粉骨しようと考える人もいますが、粉骨作業はとても大変で専門知識が必要となる場面もあるので業者に任せた方が無難です。
遺骨を業者へ預けるには、
- 業者に直接持って行く
- 『ゆうパック』で郵送する
という2つの方法があります。
業者へ直接持って行った場合は、粉骨作業のときに立ち会うこともできます。
僧侶の私としては、できるだけ直接持って行き、粉骨の様子を見ておくことをおすすめします。
業者を疑うわけではありませんが、遺族が見ていれば手抜きなどの不誠実なことはできません。
また、大事な家族の遺骨を砕くわけですから、粉骨の様子を見ておくことは重要なセレモニーとして考えてよいと思います。
海洋散骨当日は、散骨場所に着いたら遺骨と一緒に花、酒、水などを海へまき、改めて故人の冥福を祈ります。
その後、散骨場所の周辺を何度か回遊し、寄港をしたら終了です。
散骨をした数日後には散骨時の写真や海洋散骨証明書などが送られてきますので、記念として保管をしておきましょう。
《関連記事》:【海洋散骨ガイド】散骨までの流れや費用など海洋散骨の全容を解説
分けた遺骨は自宅で手元供養をする
分骨して海洋散骨をするなら『取り分けて残しておいた遺骨をどうするか』を考える必要があります。
残しておいた遺骨は、
- 自宅で手元供養をする
- 新規にお墓を建てて納骨する
- もともと納骨されていたお墓へ戻す
などの方法で保管しますが、最近は自宅で手元供養をする人が多いです。
手元供養なら費用が安くてすみ、その後も柔軟な対応ができるので、僧侶の私としても推奨しています。
分骨した遺骨はちゃんと骨壺に納める
分骨した遺骨は、ちゃんと骨壺に納めてあげてください。
遺骨を骨壺に納めて供養することは、故人に対する最低限の礼儀です。
先ほども言いましたが、お葬式の打ち合わせのときに葬儀社へ伝えておけば、火葬場で必要な数だけ骨壺を用意してもらえます。
しかし、火葬場ではなく、もっと後になってから分骨をする場合は、ちゃんと分骨用の骨壺を購入しましょう。
分骨用の骨壺は、仏具店やインターネットで購入できるので、故人のイメージに合った骨壺を選んであげてください。
しかし、1つ注意してほしいことがあります。
それは、間違えて【ペット用の骨壺】を購入しないということです。
骨壺には、サイズが小さくて可愛らしいモノがたくさんあるんですよね。
でも、それはもしかすると【ペット用の骨壺】かもしれません。
ですから、購入する前には『人骨用』であることを必ず確認してください。
手元供養をする
分骨した遺骨は、無理にどこかのお墓へ納骨する必要はありません。
いつでも故人を身近に感じられるよう、自宅に安置しても大丈夫です。。
近年では、遺骨を自宅に置いておく『手元供養』という方法が定着してきました。
その流れを受けて、以前はほとんどなかった手元供養専用の骨壺や飾り台なんかもたくさん販売されています。
骨壺や飾り台は、故人の好きだった色や形で選んでもいいですし、完全にあなたの好みで選んでもいいでしょう。
あなたの家に遺骨を安置し、心を込めて手を合わせることは立派な供養になります。
その代わり、遺骨を安置する部屋はキレイに掃除してくださいね。
そして、骨壺や飾り台などを購入して、しっかりと丁寧に供養してあげましょう。
《関連記事》:あなたは手元供養のメリットとデメリットをちゃんと知っていますか?
まとめ
海洋散骨をするなら、遺骨を全部まかずに、一部だけ分骨をしておいてからまく方が無難です。
分骨をしておけば、
- 手元供養をして故人を身近に感じられる
- 遺骨を加工して『アクセサリー』などにできる
- もしもお墓を建てることになってもちゃんと納骨できる
など、今後も柔軟に対応できます。
火葬場で分骨をする場合は、先に葬儀社へその旨を伝えておき、火葬後に分けてもらいましょう。
すでにお墓に納骨されている遺骨を分骨する場合は、石材店に遺骨を取り出してもらい、そのときには僧侶に供養をしてもらってください。
分骨をしたら、海洋散骨業者へ遺骨を預けて【粉骨】をしてもらいます。
その後は海洋散骨をし、分けて残しておいた遺骨は自宅で『手元供養』をしておくのがいいでしょう。
手元供養をするときには必ず骨壺に納め、できるだけ飾り台などに安置してください。
遺骨はお墓に納骨しなくても問題はありませんが、手元供養をするときには必要なものを揃えて丁寧に供養しましょう。
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