海洋散骨をするときはお坊さんに供養してもらえるのですか?
お坊さん次第ですが、船の上で供養することはできますよ。
海洋散骨の場合、基本的に【供養をする】ということはありません。
しかし、お骨をまくときに供養をしないというのは少し心配になりますよね。
海洋散骨のときに供養をしたい場合は、お付き合いのあるお寺に依頼をするか、散骨業者に僧侶を手配してもらってください。
本記事を参考にしていただき、船の上からしっかりと故人の供養をしてあげましょう。
- 海洋散骨のときに供養をしてもらう手順が分かります。
- 海洋散骨をした場所で【法事】をするときの手順が分かります。
- お骨を海にまくときは、ちゃんとお坊さんに供養をしてもらいたい。
- 散骨をした後も、お骨をまいた場所へ行って供養をしたい。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって25年です。僧侶としての経験や視点をふまえて海洋散骨に関する情報を発信しています。
海洋散骨のときに船の上で供養はできる?
海洋散骨をするときは、遺骨、生花、酒、水を海へまき、記念撮影の後に散骨場所を少し回遊してから寄港します。
一般的な海洋散骨であれば、ここまでのことしかしません。
でも、海洋散骨をするときは、ちゃんと故人の供養もしたいですよね?
大切な人の遺骨をまくわけですから、そこでしっかりと供養をしたいと思うのは当然のことです。
結論を言うと、海洋散骨のときに供養をしてもらえます。
供養する場所に決まりはないので、船の上でも供養はできるんです。
ただし、船の上で供養をしたい場合は事前に海洋散骨業者へ連絡をし、そして供養をしてもらう僧侶にも連絡をしなくてはいけません。
そこで僧侶の同意が得られれば、船の上で供養をしてもらえます。
しかし、海上で供養をするということは天候の影響を大きく受けるため、日程通りに供養ができる保証はありません。
また、僧侶へ依頼をしても断られる可能性も高いので、海洋散骨で供養をすることは意外と大変です。
海洋散骨で供養をしてもらう手順
海洋散骨で供養をしてもらうには、一般的な内容以外のことも依頼する必要があります。
海洋散骨業者には『個別(貸切)散骨』を依頼する
海洋散骨のときに供養をするなら、業者には『個別(貸切)散骨』を依頼しましょう。
海洋散骨で供養をするということは、船の上で【宗教行為】をすることになります。
そうすると、合同散骨をした場合、他の人の前で供養をすることになってしまいます。
じつは、供養などの宗教行為をしたくないから海洋散骨をするという人もいるんですよね。
ですから、供養をしてもらう場合は個別散骨にする必要があり、また費用も高くなります。
さらに、供養をしてもらうということは、海洋散骨に必要な費用だけでなく、お坊さんに包むお布施も発生するので出費は大きくなります。
海洋散骨の形式については、別記事の『【海洋散骨ガイド】散骨までの流れや費用など海洋散骨の全容を解説』で詳しく紹介していますので読んでみてください。
僧侶に依頼をする
海洋散骨で供養をするには、僧侶に依頼をしなくてはいけません。
しかし、海洋散骨に同行してくれる僧侶は少ないので、まずはそのお付き合いのあるお寺に確認をしてみましょう。
菩提寺の僧侶に依頼してみる
あなたの家のお墓がお寺にある場合、そのお寺はあなたの家にとっては『菩提寺』となります。
菩提寺というのは、あなたの家のあらゆる仏事を担当するお寺のことです。
そのため、海洋散骨をする場合、船の上で供養してもらうのは原則として菩提寺の僧侶となります。
しかし、菩提寺の僧侶が、海洋散骨の供養をしてくれるとは限りません。
その理由は以下のとおりです。
- 海から遠い場所にお寺があると、移動に時間がかかりすぎる。
- 天候の影響が大きすぎる。
- 船酔いをしてしまう僧侶もいる。
- 海水を浴びて僧衣をダメにしてしまう可能性が高い。
海洋散骨に対して否定的な考えの僧侶はまだ多いので、断られてしまうことも十分にあります。
もちろん、供養を快諾してくれる僧侶もいますので、散骨の日程を決めるときには菩提寺の僧侶に依頼をしてみてください。
海洋散骨業者が手配する僧侶に依頼する
菩提寺の僧侶に供養をしてもらえない場合は、海洋散骨業者が手配する僧侶に依頼することになります。
その場合は、菩提寺にちゃんと「他のお寺さんに代行してもらいます。」と伝えておいてください。
後になってトラブルが起きないように、仏事に関することはなるべく菩提寺に報告しておいた方が無難です。
また、菩提寺以外の僧侶に供養をしてもらう場合は、日程調整で苦労するかもしれません。
海洋散骨の供養は、あなたの希望する日程どおりにできるとは限りません。
海洋散骨業者が手配するお寺としても、自分のお寺で法事が入っていれば、そちらの方を優先します。
それに、船上での供養を引き受けてくれる寺は少ないので、散骨業者と提携しているお寺の数も少ないはずです。
そのため、どのお寺ともスケジュールが合わなければ、日程を自由に決められないこともあります。
特に土日祝日はスケジュールが合わない可能性が高いので、できるだけ平日を狙うようにしましょう。
散骨後も船上で年回忌法要ができる
人が亡くなると、数年おきに年回忌法要を行い、そのときにお墓参りをします。
海洋散骨をした場合は、海がお墓の代わりをします。
そのため、散骨をした場所まで船で行き、そこで年回忌法要をしたいと思う人もいるんですよね。
散骨のときに供養をしたように、海の上で年回忌法要をすることもできます。
海洋散骨業者に法要クルーズを依頼する
1周忌や3回忌などの『年回忌』を迎えるタイミングで散骨をした場所まで船で行き、花・酒・水をまくことを【法要クルーズ】と呼ぶことが多いです。
海洋散骨業者では【法要クルーズ】のプランを用意しているところが多いので、船の上で年回忌供養をしたい場合は事前に確認をしておきましょう。
しかし、実際のところ【法要クルーズ】といっても僧侶による供養はないので、正確には【お参りクルーズ】と言うべきでしょう。
法要クルーズを依頼する場合は、散骨のときと同じように、必ず個別の乗船で申し込むようにしましょう。
申し込みをするときには、希望の日程や参列予定者の数を伝え、また持ち物の確認などもしておいてください。
僧侶に依頼をする
法要クルーズを僧侶に依頼するときは、散骨のときと同じ流れです。
あなたに菩提寺があれば、まずは菩提寺に供養を依頼をしてみてください。
じつは、船の上で【普通の年回忌法要】をするとなれば、僧侶に断られる可能性はさらに高くなります。
散骨であれば、いよいよ遺骨が海にまかれる非常に重要な場面であるため、お坊さんも同行してくれやすいです。
しかし、お坊さんの本心は『普通の年回忌法要は陸地でやってほしい』なので、散骨がない船上の供養は嫌がるでしょう。
菩提寺に断られた場合は、やはり海洋散骨業者から僧侶を手配してもらうしかありません。
手配された僧侶にスケジュールを合わせて、法要クルーズの日程調整をしましょう。
しかし、普通の年回忌法要であっても、ちゃんと船の上で供養してくれる僧侶もいます。
その僧侶が承諾してくれた場合は、お布施の他にも、いくらかお礼を包むようにしましょう。
また、海の上だと供養の内容に違いがあるのかと心配する人もいますが、海の上でも法要の内容は一般的なものと大差ないのでご安心ください。
法要クルーズをする当日の流れ
ここからは、法要クルーズをする当日の流れを簡単に説明します。
法要クルーズをするときの流れは、だいたい以下のとおりです。
- 決められた港と時間に集合する。
- 予約した船に乗り、散骨をした場所まで移動する。
- 散骨をした場所に着いたら、そこで花、酒、水をまく。
- 供養をする場合は、花、酒、水をまくタイミングでお坊さんに供養をしてもらう。
- 供養が終われば、その場所の周辺を何度か回遊する。
- 港に戻ったらそのまま解散する。
散骨場所に到着したとき、花などと一緒に故人の好きだった物をまきたくなりますが、決められたもの以外を海にまくことはできません。
ちなみに、法要クルーズをする場合、記念として法要の様子や集合写真を撮ってもらうこともできるので事前に確認してみてください。
船内で食事をすることも可能
一般的な法要をした場合、法要後に参列者でみんなで会食をします。
そのため、法要クルーズをした後に船内での食事をしたいという人もいます。
そのようなニーズに応えるため、業者によっては船の中で食事をすることも可能です。
ただし、船内での食事プランがない業者もあるので、食事をしたい場合はちゃんと確認をしておきましょう。
また、食事の内容についても業者によって全く異なりますので、参列者の人数や食の好みなどを考慮し、いくつかあるプランの中から選んでおきましょう。
一般的な法要の場合は、参列者全員に対して個別に料理が出されますが、船内での食事の場合は【ビュッフェスタイル】が多いです。
注意点としては、料理を食べ過ぎてしまうと船酔いをする可能性がありますので、適度な量を食べるように注意しましょう。
特にアルコールを飲んだ後は注意してくださいね。
まとめ
海洋散骨をするにあたり、お坊さんに同乗してもらい船の上で供養することができます。
あなたに菩提寺がある場合、まずは菩提寺の僧侶に供養を依頼してみてください。
もしも供養をしてもらえない場合、海洋散骨業者が手配する僧侶に依頼をしましょう。
ただし、僧侶に供養をしてもらう場合は、必ず個別で船を借りるようにしてください。
散骨した場所に到着したら、花、酒、水をまくときに僧侶に供養をしてもらいましょう。
また、散骨をした後は、数年後に同じ場所で年回忌法要をすることができ、業者によっては船内での食事も可能です。
僧侶の私としては、海洋散骨をしてそれで終わりにするのではなく、できればその後も故人の供養をしてほしいなと思います。
※船酔いが心配な方はこちらの記事を読んでみてください。