大切な人の遺骨は、少しだけでも分けて残しておきたいですよね。
でも、分骨をしたら『今後その遺骨をどうするのか』を具体的に考えておく必要があります。
ただ何となく遺骨を分けただけでは、後になって【遺骨の処分】のことでトラブルになりかねません。
とはいえ、分骨をした後に何をすればいいのか分かりませんよね。
そこで本記事では、現役僧侶の私が『分骨の後にすること』について紹介しています。
最後までお読みいただき、あなたの希望に合ったものがあれば採用してみてください。
分骨した後は何をすればいい?
分骨をするなら、後で遺骨をどうするのかをしっかりと決めておきましょう。
分骨の後ですることは、
- 気に入った骨壺を用意する
- 他のお墓に納骨する
- 手元供養をする
- 海洋散骨をする
- 分けたお骨を本山の寺院に納骨する
- 遺骨のアクセサリーを作る
などがあります。
気に入った骨壺を用意する
分骨をするときには【分骨用の骨壺】へ遺骨を納めます。
分骨用の骨壺は、お葬式のときに葬儀社が用意してくれたり、火葬場によっては販売をしていたりします。
でも、もしかすると、それらの骨壺のデザインが気に入らないかもしれません。
そんなときは、後日に自分の気に入った骨壺を購入して遺骨を移し替えましょう。
分骨用の骨壺は、仏具店やオンラインショップでたくさん販売されているので、故人のイメージに合った骨壺を選んであげてください。
ここで、1つ注意してほしいことがあります。
それは、間違えて【ペット用の骨壺】を購入しないということです。
骨壺には、サイズが小さくて色彩豊かなモノがたくさん販売されています。
でも、それらの中には【ペット用の骨壺】もありますので、購入する前には必ず確認をしましょう。
よく確認せずに買ってしまうと、【ペット用の骨壺に故人の遺骨を納める】という非常に失礼なことになります。
人の遺骨をペット用の骨壺へ納めることは、人を無理矢理に犬小屋へ住まわせるの同じです。
大切な人の遺骨を納める骨壺なので、ちゃんと【人骨専用】の骨壺に納めてあげてください。
他のお墓に納骨する
分けた遺骨は『他のお墓』に納骨するケースもあります。
例えば、親の遺骨を兄弟で分けた場合、遺骨の大部分は長男が守るお墓へ納骨します。
残りの遺骨は他の兄弟で分けて、それぞれが持つお墓へ納骨します。
分けた遺骨を他のお墓へ納骨するときには、お坊さんに供養をしてもらってください。
お墓へ納骨する場合は必ず『供養』をします。
お墓の前で供養をすることで、ご先祖様へ【新たな遺骨が納められること】を報告するのです。
何もせずにお墓へ納骨してしまうと、ご先祖様は「えっ?」ってなりますし、あなただって何もしなかったことが気になることでしょう。
なので、お墓に納骨をするときはちゃんと『供養』をしてもらってください。
ちなみに、分けた遺骨を他の墓地に納骨する場合は『分骨証明書』を求められることが多いです。
火葬場で分骨をした場合は、火葬場に『分骨証明書』を発行してもらっているはずなので、それを納骨先の墓地の管理者に提出をしてください。
すでに納骨した遺骨を分ける場合は、寺院や霊園など墓地の管理者に『分骨証明書』を発行してもらい、それを新たな納骨先の墓地の管理者に提出をしましょう。
手元供養をする
分けた遺骨は、無理にどこかのお墓へ納骨する必要はありません。
自宅に安置しても問題はないです。
いつでも故人を近くに感じていたくて分骨をする人も多く、近年では遺骨を自宅で供養する『手元供養』という方法も定着してきました。
その流れを受けて、以前はほとんどなかったような手元供養専用の骨壺や飾り台なんかもたくさん販売されています。
故人の好きだった色や形を選んでもいいですし、完全にあなたの好みで選んでもいいでしょう。
あなたのすぐ近くで心を込めて手を合わせてあげるのも立派な供養ですよ。
《関連記事》:あなたは手元供養のメリットとデメリットをちゃんと知っていますか?
海洋散骨をする
近年では、故人の遺骨を海にまく『海洋散骨』が注目されています。
この『海洋散骨』をするために分骨をする人も多いです。
数年前までは海洋散骨をする人は少なく、専門の業者だけが海洋散骨を請け負っていました。
しかし、今では葬儀社の提案するプランの1つとして紹介されるほど多くの人が海洋散骨をしています。
海洋散骨をするのは、多くの場合【故人の希望を叶えるため】ですが、家族としては遺骨を全部まかずに少しだけでも残しておきたいんですよね。
そのため、海洋散骨をする場合は分骨をする人がほとんどです。
この方法であれば、故人の希望も叶えつつ、残された家族も納得して散骨ができますよね。
ただし、海洋散骨には1つクリアしなければいけないことがあります。
それは、故人と関係の近い親戚の同意を得るということです。
そもそも分骨をすること自体も、故人と近い関係にある親戚には同意を得ておくべきですが、それが散骨するとなればなおさらのこと。
一度まいてしまったお骨は二度と戻ってきませんので、後々のトラブルを避けるためにも、家族だけで決めてしまわず親戚の同意を得るようにしましょう。
《関連記事》:分骨をしてから海洋散骨するまでの流れ。残した遺骨は自宅で保管しよう
分けたお骨を本山の寺院に納骨する
地域によっては、自分が信仰している宗派の【本山(ほんざん)の寺院】へ分骨をした遺骨を納めるという習慣があります。
本山の寺院へ納骨する場合は、事前に連絡をしてしっかりと手順を確認しましょう。
何の連絡もせずいきなりお骨を持って行ったり、一方的にお骨を送ってしまってはいけません。
ちなみに、本山の寺院で納骨をする場合、多くは【合祀(ごうし)】という方法での納骨となります。
合祀というのは、要するに、他の人の遺骨と一緒に埋葬されるということです。
本山としても、日本全国の何万人分もの遺骨を埋葬するのですから、どうしても合祀になってしまいます。
大切な人の遺骨が他人の遺骨と一緒になるので、それを許容できるなら本山の寺院に納骨するというのも意義のあることです。
遺骨のアクセサリーを作る
分けた遺骨は、『アクセサリー』にして持ち歩くという人もいます。
遺骨のアクセサリーを作るには、
- 粉骨した遺骨を小さなケースに入れてアクセサリーにする
- 遺骨そのものを加工してダイヤモンドにし、指輪やネックレスにする
などの方法があり、多くの人は遺骨を専用のケースに入れてペンダントにしています。
ペンダントにすれば、いつでも故人と一緒にいるような気持ちになれて、価格も比較的お手頃です。
また、遺骨や遺灰を加工することにより『人工ダイヤモンド』を作ることもできます。
遺骨をダイヤモンドにすることで、世界に1つしかない指輪やネックレスなどのアクセサリーになります。
しかし、遺骨を加工するには大きな費用がかかりますので、事前に業者へ連絡して価格をよく確認しておきましょう。
そして、遺骨をアクセサリーする場合は【紛失】しないように十分注意してください。
ただのアクセサリーなら買い直せばいいですが、遺骨のアクセサリーだとそうはいきません。
なので、遺骨のアクセサリーは基本的に自宅に飾っておき、大事なイベントがあるときに持ち出すようにするのが無難です。
分骨をした後の注意点
分骨をした後には大事な注意点があります。
誰の遺骨なのか分かるようにしておく
分骨をする場合は、必ず誰の遺骨なのかが分かるようにしておきましょう。
誰の遺骨か分からない状態だと、後になって遺骨の処分に困ります。
実際にあった話ですが、一人暮らしをしていた女性が亡くなり遺族が家の掃除と整理をしていたところ、遺骨が入った小さな骨壺が見つかったのです。
しかし、その遺骨の分骨証明書がなかったので、それが誰のものか分からず、遺族は遺骨の処分に困りました。
どこかの寺院や霊園に【永代供養】をしてもらいたくても、誰のものか分からない遺骨を受け入れてはもらえません。
遺族は仕方なく役所へ相談して、しかるべき手段で遺骨を処分したそうです。
このように、不明な遺骨があると後で面倒なので、必ず誰のものか分かるようにしておきましょう。
原則として、火葬場あるいは寺院や霊園で分骨をするときには『分骨証明書』が発行されますので、それをしっかりと保管してください。
もしも自分で遺骨を分けた場合は、骨壺のフタの裏などに故人名、亡くなった日付、年齢を書いておいてください。
遺骨の最終処分方法を決めておく
分骨した遺骨は、未来永劫ずっと自分で保管し続けることはできません。
先ほどの例のように、遺骨を管理していた人が亡くなった場合、分骨した遺骨を遺族が引き継いで保管するか、あるいは処分をしなくてはなりません。
遺骨の最終処分方法には、
- 寺院や霊園にある永代供養墓に納骨する
- 海洋散骨をする
などがありますので、分骨をするなら、もしものときに遺族が困らないように準備をしておきましょう。
まとめ
分骨後にすることは、
- 気に入った骨壺を用意する
- 他のお墓に納骨する
- 手元供養をする
- 海洋散骨をする
- 分けたお骨を本山の寺院に納骨する
- 遺骨のアクセサリーを作る
などがあります。
遺骨を自宅で保管する場合は、分けた遺骨が誰ものであるか分かるようにしておきましょう。
また、遺骨はいずれ、
- 寺院や霊園にある永代供養墓に納骨する
- 海洋散骨をする
などの最終的な処分をしなければなりませんので、事前に家族でよく話し合っておきましょう。
遺骨は《お墓への納骨》が必須というわけではありません。
あなたの望むように遺骨を分けて、そして責任を持って管理と供養をしてくださいね。
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