多くの人は【終活】と聞けば、『家族に迷惑をかけないように準備をすること』をイメージします。
では、妻や子どもなどの家族がいない《独身の人》には終活なんて必要ないのでしょうか?
じつは、独身の人こそ終活が大事です。
独身の人は、家族に手続きや身の回りのことを頼めないので、すべて自分で決めて準備をしておかなくてはいけないのです。
この記事では、独身男性が終活をするための重要なポイントについて紹介しています。
「将来のことが少し不安だな」と思っているあなたにぜひ伝えておきたい内容なので最後まで読んでみてください。
この記事を書いている私『ちょっき』は僧侶になって30年です。僧侶としての経験や視点をふまえて海洋散骨に関する情報を発信しています。
独身の人は終活をするべき?
私の知人に独身男性がおり、彼は「俺はこのまま結婚しないかもしれないけど、やっぱり終活をした方がいいのかな?」と言っていました。
私としては、既婚者はもちろん、独身の人も終活をしておくべきだと思います。
人間は誰もがいつか必ず【死】を迎えますので、結婚の有無にかかわらず終活はすべての人がやっておくべきでしょう。
既婚と独身ではその方法が少し違うだけで、早めに終活をすることの重要性は変わりありません。
終活の目的は、家族に迷惑をかけないようにすることだけではなく、自分自身が安心して人生を過ごせるようにすることでもあります。
ですから、今後のあなたの人生を豊かで穏やかなものにするためにも、早いうちから終活をすることはとても重要です。
独身のあなたが将来に向けて今からしておくべきこと
終活をするにあたり、独身の人ならではの準備があります。
ポイントは『自分自身で完結させる』ということです。
生前契約の準備をする
独身男性は、自分自身の《老後生活の手助け》や《亡くなった後のこと》を妻や子どもに頼むことができません。
しかし、本当に誰も頼れる人はいないのですか?たとえば、あなたの親戚に誰かいませんか?
とりあえず【いざというときに頼れる人】が本当にいないか、もう一度確認してください。
それでも頼れる人がいない場合は、
- 生前事務委任契約
- 任意後見契約
- 死後事務委任契約
などの『生前契約』の準備をしておいた方がいいです。
生前事務委任契約とは
いざというときに頼れる人がいない場合は『生前事務委任契約』をしておくといいでしょう。
私たちは高齢になるにつれ、だんだんと身体の能力だけではなく思考(判断)能力も徐々に衰えてしまいます。
そうなると、【何が必要で、何が不要なのか】というような判断もできなくなり、最悪の場合は大事なお金を騙し取られてしまいます。
そうならないために、ちゃんと【信頼できる人】に、
- 医療に関すること
- 介護に関すること
- 財産に関すること
などの事務手続きや管理を代行してもらうのです。
要するに、家庭を持っている人なら家族がやってくれるようなことを、独身の人の場合は《契約を結んだ信頼できる第三者》にやってもらうわけです。
これを、『生前事務委任契約』といいます。
この契約は、依頼者が『しっかりと物事を判断できる状態』のときに交わす契約です。
非常に大事な手続きや金銭管理まで代行してもらうのですから、間違いなく依頼者の意思によって結ばれるものでなければいけません。
この契約を結んでおけば、依頼者が何らかの理由で動けなくなっても、契約内容のことをすべて代わりにやってもらえるので安心です。
任意後見契約とは
高齢となり正しい判断ができなくなった依頼者の代わりに、
- 【財産の管理】:預貯金・不動産・年金の管理、公共料金や税金の支払い
- 【生活・介護の管理】:医療・入院費用の手続きや支払い、介護施設との手続きや支払い
などをしてくれる契約があります。
これを、『任意後見契約』といいます。
任意後見契約は、先ほどの『生前事務委任契約』と一緒に結ぶことが多いです。
依頼者が自分で判断できる状態までは生前事務委任契約が適用されて、いよいよ判断ができなくなったら任意後見契約の内容を適用するのです。
後見人(=代行者)は、判断力が低下した自分の代わりをしてもらう人ですから、くれぐれも慎重に、よく考えて選ぶようにしましょう。
ちなみに、万が一のことがあってはいけないので、後見人のことを監督している『任意後見監督人』という人がいます。
これによって、後見人は【依頼者との契約を正しく執行しているか】を厳しくチェックされているのです。
とはいえ、後見人と任意後見監督人が裏で手を組んでしまったらどうしようもありませんが・・・。
生前事務委任契約と任意後見契約を結ぶときには、要するに自分の全部を託す人を選ぶわけですから、ほんの少しでも疑問や不信感があるなら別の人に依頼してください。
また、生前事務委任契約と任意後見契約を結ぶときには『公正証書』で手続きをすることで、後々のトラブルを避けることができます。
死後事務委任契約とは
独身の人の場合は、頼る家族がいないため、自分が死んでしまったら【亡くなった後のこと】をしてくれる人がいません。
【亡くなった後のこと】というのは、
- 依頼者が亡くなったことの親族などへの連絡
- 葬儀、火葬、納骨の執行
- 役所への届け出などの手続き
- 遺品や家財道具などの処分
- クレジットカード、毎月支払いのあるもの、などの停止
- 上記の際にかかる費用の支払い
などです。
依頼者が亡くなったときに、上記のことを代行するのが『死後事務委任契約』です。
死後事務委任契約を結び、前もって《自分の死後どのようにしてほしいか》を伝えておくことで、安心して今の生活を送ることができます。
人生を幸せに豊かに過ごすためには《安心》が必要ですよね。
それには「自分が他界した後はどうなってしまうんだろう?」という不安を常に抱えたままではいけません。
ですから、独身の人は『死後事務委任契約』も契約しておくことをおすすめします。
ちなみに、こちらも生前事務委任契約と任意後見契約と同様に『公正証書』で手続きをしましょう。
緊急の入院や介護に備えておく
あなたは、自分がいつどこで、どんな病気やケガをするかを正確に予測できますか?
そんなことはできませんよね?
ですから、緊急の入院や介護に備えておくことが大事です。
予想もしないような病気や大ケガをしてしまうと、緊急の入院や介護が必要になることもあります。
独身の場合は、いろんな手続きや介護などを家族に任せることができませんから、第三者に依頼することになります。
しかし、第三者に依頼をしようにも、そのためのお金が無ければ話になりません。
ですから、急な病気やケガなどで入院や介護が必要となったときのために、今からしっかりとお金の準備をしておきましょう。
ただし、病気に備えるために、やたらと民間の医療保険に入る必要はありません。
現在の日本には『高額療養費制度』という非常に優れた制度があります。
この制度の対象となる治療(保険適用の治療)であれば10万円程度を支払うだけなので、治療費についてはさほど心配しなくて大丈夫です。
その他の費用については民間の医療保険で必要最低限だけまかなうか、それを見越して今から貯金しておけばいいのです。
個人的には、必要なときにお金を出してくれない民間の保険なんかには加入せず、いつでも自由にお金を使えるように貯金することをおすすめします。
将来を見据えた資産形成をする
日本人の平均寿命はどんどん延びています。
それはつまり、老後に必要なお金も増えているということです。
最近ではこれを『長生きリスク』と呼んでいます。
長くなるかもしれない老後生活のために、しっかりと資産を持っておいた方が安心ですよね。
そのためには、老後にどのくらいのお金が必要で、それを作るには今から何をしなくてはいけないのかをよく考えましょう。
老後の費用は老後生活が近くなってから作るのでは手遅れです。
ですから、今のうちから積極的に貯金や投資などで将来を見据えた資産形成をすることがとても大事です。
自分の遺骨の行き先を決めておく
独身の場合、自身が他界した後の【自分の遺骨の行き先】について考えておかなければなりません。
一般的には、遺骨を『お墓』や『納骨堂』などへ納め、以後は家族がその場所を管理します。
しかし、独身の場合はそれができませんので、自分の遺骨を最終処分する方向で考えておく必要があります。
遺骨の最終処分とは、
- 永代供養墓への納骨
- 海などへの散骨
などを指します。
そして、近年では「自分はいずれ自然に還りたい。」と望む人が多く、そのような人は【海洋散骨】を選んでいます。
海洋散骨であれば、生命の母である海に散骨されるため、まさに自然に還ることになるのです。
さらに、費用も安く、なおかつ誰かが遺骨を管理する必要もありません。
また、海は地球上で繋がっていますので、言ってみれば、海全体があなたのお墓みたいなものです。
ですから、あなたの友人たちはどこの海からでもあなたのお墓参りができます。
自分自身の遺骨の行き先をどこにするか、今のうちからよく調べて決めておきましょう。
《関連記事》:【海洋散骨ガイド】散骨までの流れや費用など海洋散骨の全容を解説
パートナー探しをヤメない
独身の人は、老後生活の手助けや自分自身の死後のことを家族に頼ることができません。
ですから、あらゆることを自分で考え、しっかりと準備しておく必要があります。
・・・ところで、独身の人はみんな、自分から望んで独身でいるのでしょうか?
独身を望んでいるのなら、それはその人の考えなので尊重すべきです。
しかし、『なかなか良い人に出会えない』という理由で独身なのであれば、パートナーを探すことをヤメないでください。
独身の人は、40代後半になってくると、

なんかもう、結婚なんてしなくてもいいかな・・・。
とパートナー探しをヤメてしまいがちです。
独身生活の大きなメリットは圧倒的な【自由】です。
だから、人生を自由に楽しく生きるために独身を選択するのは決して悪いことではありません。
しかし、そうではなく結婚願望があるのなら諦めてはダメです。
諦めたら、その時点で自分から結婚の可能性を消すことになります。
諦めずに『行動』を続けていれば、少なくとも可能性が消えることはありません。
何でもそうですが、目的に向かって『行動』を続けないと達成はできません。
何らかの理由で「結婚だけはしたくない。」と思わない限りは、積極的にパートナーを探し続けましょう。
結婚をしたら、それはそれで大変なことも山ほどありますが、それも人生の醍醐味の1つです。
まとめ
独身の人は終活をすることがとても大事です。
終活の目的は、自分が安心して生きるための準備という側面もあります。
そのためには、
- 生前事務委任契約
- 任意後見契約
- 死後事務委任契約
などの生前契約をしておきましょう。
また、自分の他界後について、特に遺骨の行き先についてはちゃんと準備をしておいてください。
そして、結婚を諦めず、パートナーを探し続けることも豊かな人生を送るための要素です。
今のうちから終活を始め、将来の不安を減らし、あなたらしい人生を送りましょう。
※海洋散骨であれば遺骨に関する心配はなくなります。




